社会的孤立はその後の睡眠悪化につながる

的:高齢者の場合,社会的孤立/孤独感と睡眠の質には負の相関がある。しかしながら,この2つの要因が睡眠の質に直接的にどの程度影響を及ぼすのかは明らかではない。本研究では,高齢者を対象とした縦断研究を実施し,社会的孤立・孤独感が睡眠の質に及ぼす影響について検討した。

方法:台湾で実施された20002006年の研究から,639名(平均年齢66.14±7.26歳)のコホートデータを使用した。解析には,ポワソン回帰モデルを使用した。社会的孤立〔未婚・別居・離婚・死別,独居,田舎町在住,社会的グループへの不参加に該当した場合に1点とし0-4点〕,孤独感(CES-D 1項目「ひとりぼっちで寂しい」),睡眠の質〔PSQIのうち,C1~C5を使用〕に回答を求めた。

結果: 単回帰分析の結果,睡眠の質は,社会的孤立,孤独感と負の関係にあった。調整変数を投入した重回帰分析では,社会的孤立は6年後の睡眠の質の低下を予測した(Model 1: IRR [発生率] = 1.14, Model 3: IRR = 1.13)ものの,孤独感は6年後の睡眠の質との間には関連が見られなかった。ベースライン時に睡眠の質の低下を示した参加者を除外してもこの結果は変わらなかった。

結論:高齢者にとって,社会的孤立は睡眠の質を悪化させるが,孤独感単独では影響しないため,両者が睡眠の質に及ぼすプロセスは異なる可能性がある。

  

→ 睡眠の質の低下に関しては,社会的孤立の方が問題であるという結論。でも6年前に孤立や孤独だったことが今の睡眠の質の低下につながるのか?と思うので,現在の孤立や孤独も制御した方が良いように思う。社会的孤立の測定方法は面白いが,孤独感は信頼性と妥当性のある尺度でもよいかな。