うつ病の過眠は双極性障害や非定型の鑑別に有効?

目的:大うつ病エピソードを経験した患者の睡眠の減少(Sleep-)と増加(Sleep+)の診断的および臨床的な相関関係を検証する。BRIDGE--MIX研究(双極性障害治療ガイダンス)で得られたデータの二次解析を行なう。

方法:[分析対象]大うつ病エピソードを経験した成人患者2,811名(先行研究においては約7.5%がDSM-5基準の躁鬱混合状態にあった)のうち、睡眠障害がみられた2,514名。[分析]睡眠減少(Sleep-)と増加(Sleep+)を報告する患者で2群に分けた。

結果:分析対象者のうち、Sleep-83.2%、Sleep+16.8%であった。(とても多いので気になった項目をピックアップ:右図)。

考察:過眠を伴ううつエピソードは重要なネガティブ要因となり得る。双極性障害(BD)との関連性が疑われ、単極うつ病との鑑別診断において過眠は有用であることが示唆された。また、過眠と肥満との関連は治療に関連する副作用等の要因が複雑に絡まっている可能性がある。

 

【感想】この研究ではADHD、境界性パーソナリティ障害(BP)は関連無しと出ました。ですが結果を見ると自殺企図歴や診断特徴、併存疾患等、臨床的にはいわゆる“重い”とされる患者さん達なのだなぁという印象です。抑うつ×過眠の組み合わせの患者さんと出会ったらアセスメント要注意だなと思いました。(担当:石井美穂)

 

出典:Murru A, et al. The implications of hypersomnia in the context of major depression: Results from a large, international, observational study. European Neuropsychopharmacology 29:471-481, 2019.