CBT-Iの効果はいつまで続くのか?

目的 薬物療法と比較して、CBT-Iは長期的な効果が示されている。しかし、長期的な評価を行った研究はわずかであり、慎重に検討する必要がある。今回は治療後7.8±1.6年(4-10年の範囲)のCBT-Iの長期的影響を説明することを目的とする。

方法 後ろ向き研究。CBT-I8-15名の患者を対象とした90分間のグループCBT-I7回行われた。T0(治療前)T1(治療後)T2(follow-up: FU評価)で評価し、ISIをプライマリアウトカムとした。292名(女性61.6平均40.8±12.3歳)のうち、258名がCBT-Iを完了し、123名がFU評価を完了した。

結果 T1T2ISIの有意な変化は見られなかった。FUでは、FU期間・年齢に関係なく治療効果の維持が認められた。FUにおいて、123名のうち98名が少なくとも週に4日の不眠症状の再発を報告し、CBT-Iのみ・薬物療法・CBT-I+薬物が患者自身によって実施された。CBT-Iのみのグループにおいて、最も低いISIの値が報告された。

結論 今回の研究において、CBT-Iの治療効果が治療終了後10年まで維持されることが明らかとなった。

 

【感想】CBT-Iの要素を網羅した全7回セッションがきちんと行われていることがまずすごいと思いました……。再発時には薬物よりもCBT-Iをとのことでしたが、薬物の立ち位置?が気になりました。(担当:井上真里)

 

出典:Castronovo V, et al: Long-term clinical effect of group cognitive behavioral therapy for insomnia: a case series study. Sleep Medicine 47: 54–59, 2018.