各年代の4人に1人は推奨睡眠時間を下回る

目的:生涯にわたる睡眠問題の発生率およびpoor sleepのリスク指標を特定すること。

方法:Embase, Medline, Web of Scienceで文献検索。一般コミュニティサンプル100名以上に質問紙調査を行っている論文を抽出(2000−2017年)。

結果:オランダ(200,358名,1−100歳,女性55%),UK(471,759名,40-69歳,女性55.5%),US(409,617名,18歳以上,女性55.8%)が分析対象。

24.5%(4人に1人)が年齢で推奨される睡眠時間(American National Sleep Foundation: NSF)を下回っていたものの,「許容範囲」を超えたのは5.8%(17人に1人)にとどまった。10代では推奨時間(8−10h)以下の睡眠が51.5%,日中の眠気を報告したのは18%であった。成人(18歳以上)では,睡眠の質の低下(13.3%)と不眠症状(9.6-19.4%)が短時間睡眠(<6h,6.5%)よりも多かった。不眠症状は,TIB≥9hの人に多く見られる一方で,睡眠の質の低下は,TIB<6hの人に多かった。TSTはどの国でも同程度であったが,不眠症状はUSが1.5〜2.9倍高かった。

41歳以上の場合,女性は男性よりも睡眠時間の短さ,睡眠効率の低さを報告していたが,(アクチによる)客観的睡眠時間は長く,睡眠効率は高かった。

結論:年齢と性別を分けた母集団の参照表を作成できたことで,睡眠時間の長さや予防策について個別のアドバイスを行う指針となるだろう。

 

→ NSFの推奨睡眠時間を基準に,real worldではどうかを調べた大規模システマティックレビュー。睡眠時間が比較的長い欧米でも4人に1人が睡眠負債気味だとすると,日本はどうなってしまうのか。10代への介入は急務(米国で始業時間を遅らせる取り組みをしていたけど,結局睡眠時間が延びたのは最初だけで,徐々に夜更かしが増えて効果消えたっていうのがあった)。やってみる価値はありそう(国民健康栄養調査のデータを使えばできるのかな?)。

出典:Kocevska D, et al (2020). S  Sleep characteristics across the lifespan in 1.1 million people from the Netherlands, United Kingdom and United States: a systematic review and meta-analysis. Nature Human Behaviour (Online ahead of print).