アテネ不眠尺度による重症度評定が可能に!

【目的】アテネ不眠尺度(Athens Insomnia Scale: AIS)は臨床的カットオフ値(5/6点)はあるが,重症度評定ができない。そこで,不眠重症度質問票(Insomnia Severity Index: ISI)の基準を用いて重症度基準を設定した。

【方法】1,666名の労働者(男性649名,女性1,017名,平均年齢45.33±12.20歳)を対象に質問紙調査を実施した。

【結果】AISとISIの相関はr = 0.80と高かった。ROC曲線を描いた結果,軽症(6–9点),中等症(10–15点),重症(16–24点)が妥当であると判断された。このAIS基準とISI基準を用いて,各尺度得点の比較を行ったところ,両基準とも眠気(ESS),抑うつ症状(PHQ-9),健康関連QoL(SF-8)は同様の変化を示した。

【結論】AISの重症度基準を設定したことは,不眠の疫学と臨床研究を結びつける重要な役割を果たす。

 

 → 相関が0.80なので,ほぼ同じ尺度といえる。これまでAISは疫学研究,ISIは臨床研究で用いられることが多かった。今回,AISの重症度評定をISI基準で決定したことで,AISを疫学・臨床研究の両方で用いることが可能となる。また,コミュニティと臨床での不眠重症度別の割合を比較することも可能になる。

出典:Okajima, I., Miyamoto, T., Ubara, A., Omichi, C., Matsuda, A., Sumi, Y., Matsuo, M., Ito, K., & Kadotani, H. (2020). Evaluation of severity levels of the Athens Insomnia Scale based on the criterion of Insomnia Severity Index. International Journal of Environmental Research and Public Health, 17(23), 8789.