COVID-19への心配,レジリエンスの低さは,孤立や孤独感を組み合わさることで睡眠を悪化させる

目的:COVID-19パンデミック禍のソーシャルディスタンスと社会的孤立(isolation)によって,高齢者は孤独感(loneliness)を感じている可能性がある。本研究では,COVID-19への心配とレジリエンスが孤独感と睡眠の関係性における緩衝要因(moderators)となるかを検証した。

方法:イスラエルでCOVID-19によるロックダウン中に,ウェブ調査を実施。243名(平均年齢69.76±6.69歳)に対して,孤独感(UCLA孤独感尺度3項目版),COVID-19感染に対する心配(4項目),レジリエンス(CD-RISC),睡眠問題(ISIの2項目〔満足感,入眠困難〕+PHQ-9の1項目〔疲労感〕)に回答を求めた。

結果: 階層的重回帰分析の結果,性別,健康問題(慢性疾患の有無),孤独感は睡眠問題と関連していた。また,孤独感×心配および孤独感×レジリエンスの交互作用も有意に影響していたため,二要因の交互作用を検討した。そうしたところ、孤独感が高いほど睡眠問題は悪化するが,中でも心配↑の人とレジリエンス↓の人ほど,睡眠問題が強く出ることが分かった。

結論:COVID-19に関連した孤独感―睡眠問題の関係は,高齢者に一様に現れるわけではない。心配が強さやレジリエンスの低さといった脆弱性を持つ高齢者に介入する必要がある。

 

→ COVID-19禍はまさに孤独感を強める環境。そのような環境で孤独感が強いと睡眠に悪影響なのは間違いないが,感染リスクへの心配が低い人やレジリエンス高い人であれば,睡眠問題は軽めになるというのは,介入の緊急性を考える上で重要だろう

出典:Grossman ES, et al (2021). COVID-19 related loneliness and sleep problems in older adults: Worries and resilience as potential moderators. Personality and Individual Differences, 168, 110371.