患者提供 vs. 広告募集:不眠の場合

Davidson JR et al. (2009). Characteristics of individuals with insomnia who seek treatment in a clinical setting versus those who olunteer for a randomized cotrolled trial. Behavioral Sleep Medicine,7,37-52.

臨床現場での不眠症に対する治療は,広告などで募集した不眠症者を対象に行った研究の成果に基づいて実施されている。本研究では,クリニックに通院する不眠症患者(Clinical)106名と広告で募集し不眠症の診断基準を満たした不眠症者(Research)120名の特徴の違いについて検討した。その結果,Clinical群の方が,独身者と仕事休暇中の者の数,入眠困難者の割合が多く,平均年齢や退職者の数,不眠持続期間,不眠サブタイプの混合型はResearch群の方が多かった。身体疾患の併存率に違いは見られなかったが,気分障害の併存率はClinical群の方が有意に高かった(20.8% vs. 9.2%)。また,不安症状(BAI),抑うつ症状(BDI),不眠重症度(ISI),疲労感(Fatigue)の得点もClinical群の方が高く,睡眠薬量もClinical群の方が多かった。睡眠変数は,中途覚醒後の覚醒時間(WASO)のみResearch群の方が長かった。

→ 変数の違いを明らかにしたユニークな研究。今度は,実際の治療の効き方(有効率)も調べてほしい。広告募集の方が,治療効果が出やすいのではないか?