幼少期の母子分離は成人期の不眠に?

Reyes NM et al. (2012). Oleamide restores sleep in adult rats that were subjected to maternal separation. Pharmacology, Biochemistry and Behavior 103:308-312.

母子分離(Maternal separation;MS)は,自発的な睡眠を減少させる。その潜在的な不全システムの一つが内在性カンナビノイド・システム(eCBs)であり,ラットにおける不眠の脆弱性を形成する。そこで,母子分離が睡眠に及ぼす影響についてラットを用いて検討した。ラットは,生後2日~16日間,毎日3時間分離し,成体(250g)になった時点で,睡眠覚醒リズムを測定した。MSラットと非MSラットは,賦形剤(vehicle),オレイン酸アミド(OLE; CB1Rアゴニスト),OLE+AM251(CB1Rアンタゴニスト),AM251に割り付けられた。その結果,MSは非MSと比較して,覚醒が増加し,REM,NREMの減少が見られた。OLEは深睡眠を改善させ,AM251は効果を阻害した。MSにおけるCB1R発現は前頭前野,海馬で減少した。つまり,MSは睡眠とCB1R発現を減少させ,OLEは睡眠を改善する。

(感想)母子分離が睡眠覚醒リズムを阻害するとなると,幼少期のアタッチメント形成は睡眠構築と関連があるのか?虐待との関係も興味深い。