ブルーライトカット眼鏡の効果

Shechter A et al: Blocking nocturnal blue light for insomnia: A randomized controlled trial. J Psychiatric Res 96:196-202, 2018.

就床前の光を発するディバイスは,睡眠問題を助長する。これらのデバイスに含まれる青色光は特に,メラトニン抑制と神経生理学的覚醒によって睡眠に影響を及ぼす。そこで,就床前にブルーライトカットレンズを使用するで不眠症者の睡眠を改善できるかどうかを検討した。3ヶ月以上不眠症状を訴える不眠症者14名(女性8名,平均年齢46.6±11.5歳)は,クロスオーバーデザイン(無作為)によって,黄色レンズかクリアレンズを7夜,就床2時間前に着用した。4週間のウォッシュアウトののち,他方のレンズで同様の期間実施した。その結果,黄色レンズの方が,不眠症状尺度,QoL尺度,ディストレス尺度の改善,主観的起床時刻の遅延,主観的TSTの増加,睡眠の質,熟睡感の増加,客観的TSTの増加が認められた。このことから,不眠症者にとって,夜間のブルーライトカットレンズの使用は有用と言える。

(感想)これまで不眠症には,クロノタイプ(朝型夜型)の関連性が指摘されていて,入眠困難は睡眠相後退傾向,早朝覚醒には睡眠相前進傾向があると指摘されていた。不眠症が心理的要因だけでなく,生理学的要因の影響も考慮する必要性があるということだろう。人数が少ないのが残念なので似たような研究が多く行われてほしい。