寝だめは,しないよりした方がマシ?

これまでの研究によって睡眠時間(平日)と死亡率との間には,U字型の関係が認められている。本研究では,平日と休日の睡眠時間と13年後の死亡率との関係について検討した。38,015名のデータを対象とし,<5hを短時間睡眠,≥9hを長時間睡眠として平日と休日の睡眠時間によって次のように分類した(赤字は岡島が補足)。

  SS群:平日(短)ー休日(短)← short-sleeper, 睡眠負債

  MM群:平日(中)ー休日(中)

  LL群:平日(長)ー休日(長)← long-sleeper

  SML群:平日(短)ー休日(中長)← social jetlag

  ML群:平日(中)ー休日(長)← 睡眠負債

  LS群:平日(長)ー休日(短)

 その結果,65歳以下の場合,休日7時間睡眠の者と比べて,短時間睡眠の者の方が死亡率が高かった(HR=1.52)が,長時間睡眠の者では有意差は認められなかった。また,65歳以下の場合,MM群と比べてSS群(HR=1.65),LL群(HR1.25)の方が死亡リスクが高かったが,SML群との間には有意差は認められなかった。なお,これらの関係は65歳以上では認められなかった。

 以上のことから,65歳以下の成人では,(1)休日の短時間睡眠,および(2)平日と休日の睡眠時間がともに短/長の場合は死亡リスクが上がる。また,休日の長時間睡眠は,平日の短時間睡眠を補償している可能性がある。

(感想)これまで,睡眠負債の指標として平日ー休日の睡眠時間の差(social jetlag)が利用され,休日の「寝だめ」は良くないと言われてきた。しかし,今回の結果は,休日の寝だめをしないと死亡リスクは上がるが,「寝だめ」自体はそのリスクを高めない,つまり死亡リスクの軽減という意味では,休日の「寝だめ」はOKという結果。ということは,social jetlagは,短期的な影響にとどまるといえる??

出典:Åkerstedt T et al. Sleep duration and mortality: Does weekend sleep matter? J Sleep Res 28:e12712, 2019.