不眠の人は起きてすぐ頭がさえる?

Bastien CH et al. (2008). Chronic Psychophysiological insomnia: Hyerarousal and/or inhibition deficits? An ERPs investigation. Sleep, 31, 887-898.

慢性不眠症は条件づけられた覚醒や正常な睡眠過程の開始困難の結果と考えられている。事象関連電位(ERPs)であるN1,P2,N350は覚醒指標として用いられるため,本研究では,これらの指標を用いて不眠症患者15名と健常者16名を対象とした検討を行った。その結果,両群ともにP2,N350の振幅は,標準刺激より奇異刺激の方が大きかった。N1の振幅は朝,晩ともに健常群よりも不眠群の方が大きかった。入眠時では,N350の振幅は健常群の方が大きく,P2の振幅は不眠群の方が大きかった。このことから,不眠患者の皮質覚醒の大きさが明らかとなり,特に朝の覚醒後において顕著であった。また,不眠群の方が入眠時の覚醒過程からの解放困難や正常な入眠過程の開始困難であるといえる。

 不眠症の覚醒に注目したユニークな研究。入眠困難は周知の事実だが,朝の覚醒後から皮質活動が高まっているというのは,ある意味,利点ともいえるか? すぐに集中できるのかな?