客観的睡眠指標で不眠を予測できるか?

Natale V et al. (2009). Actigraphy in the assessment of insomnia: A quantitative approach. Sleep, 32, 767-771.

不眠症を定量的に評価するツールとして,アクチによる基準を検討する。対象者は126名の不眠症患者と282名の健常者。アクチデータとして,ベッドにいる時間(TIB),入眠潜時(SOL),総睡眠時間(TST),中途覚醒時間(WASO),睡眠効率(SE),5分以上覚醒した回数(NA>5),運動活動(motor activity)を指標とした。その結果,TIB以外のすべての指標で群間差が認められた。線形判別関数(linear discriminant function: LDF)分析の結果,TST,SOL,NA>5の指標を組み合わせて評価するのが最も適していることが分かった(discriminant score (DS) = TST×0.00528 + SOL×-0.04117 + NA>5×-0.4867 + -1.0065)。ROC曲線を用いて,それぞれのアクチ指標を単独とDSを比較しても,DSが最も適していることが分かった(Cutoff point = -0.78)

(感想)複数のアクチデータを組み合わせてカットオフ得点を出したのは有用。これまでは,主観的指標で臨床的改善を求めていたが,客観的指標でも臨床的改善が示せるかも。一方で,客観的指標は,治療前後であまり変化が見られないことも多いため,今後検討が必要。