アルコール依存に不眠が加わると社会適応が悪い

Chaudhary NS et al: Insomnia in alcohol dependent subjects is associated with grater psychosocial problem severity. Addictive Behaviors 50:165-172, 2015.

アルコール乱用と不眠には,心理社会的問題が共通して認められるが,両変数の相乗効果が心理社会的問題の重症度に影響するかどうかはほとんど知られていない。アルコール依存患者123名(平均年齢44±10.3歳;男性83%)を対象に,プラセボ比較試験を実施した(本研究は2次解析)。心理社会的/職業/法的問題(Short Index of Problems:SIP),アルコール消費量(Addiction Severity Incdex:ASI),不眠(ISI)の関連性について,2変量解析および多変量解析を用いて評価した。15%の者は不眠と回答しなかった(軽症29%,中〜重症45%)。アルコール消費量において,群間差(不眠なし,軽症,中〜重症)はなかった。ISI得点はSIP得点と関連が見られた(β=0.23, p = 0.008)。中〜重症の不眠患者は,他群と比較して,治療後のSIP合計,身体的・社会的問題,衝動コントロール問題に関する得点,ASIの仕事上の問題と配偶者との葛藤得点が有意に高かった。治療を求めてくるアルコール依存患者は,不眠によってアルコール関連の心理社会的結果が悪化する。

(感想)アルコール依存患者の多くが不眠であるが,睡眠専門機関にはほとんどこない。不眠の重症度が社会適応を妨害しているとなるとCBT-Iは有効かもしれない。